「我慢の文化」が生み出す、見えないリスク
多くの新入社員は、職場で自分の意見を言うことに強い抵抗を感じています。「まだ新人だから」「波風を立てたくない」「生意気に見られたくない」——こうした思考が、本来伝えるべきことを飲み込ませてしまいます。
しかし、この「受身的なコミュニケーション」には見えないリスクがあります。引き受けられない仕事を抱えて燃え尽きる。問題に気づいても報告できず、事態が悪化する。不満が蓄積し、突然退職する——早期離職の背景に、言えない文化が絡んでいることは少なくありません。
一方で逆のリスクもあります。自分の意見を押しつけ、相手を萎縮させる「攻撃的なコミュニケーション」は、チームの心理的安全性を損ないます。2025年のパワーハラスメント防止法の強化により、攻撃的なコミュニケーションが及ぼすリスクは以前より高くなっています。
では、どうすればよいのか。その答えが「アサーティブコミュニケーション」——自分も相手も尊重する伝え方です。
3つのスタイルを知ることから始める
研修の最初のセクションでは、コミュニケーションの3つのスタイルを整理します。
「攻撃的スタイル」は、自分の権利を主張するが相手の権利を軽視する。短期的には要求が通るが、長期的に信頼を失います。「受身的スタイル」は、相手に合わせ自分を抑える。ストレスが蓄積し、突然爆発するパッシブ・アグレッシブにつながることもあります。そして「アサーティブスタイル」は、自分も相手も尊重する。率直に、しかし配慮を持って伝えます。
個人ワーク「自分のスタイル診断」では、「先輩から急に仕事を頼まれた」などの3場面で、自分がどう反応するかを書き出します。自分の傾向を知ることが、変化の第一歩です。
「Iメッセージ」——最もシンプルで強力なツール
アサーティブコミュニケーションの基本ツールは「I(アイ)メッセージ」です。主語を「あなた(YOU)」から「私(I)」に変えるだけで、コミュニケーションの質を大きく変えます。
「あなたはいつも遅いですね」(YOUメッセージ)→「私はスケジュールが心配です」(Iメッセージ)
Iメッセージの3ステップは「事実(客観的な状況を述べる)→感情(自分がどう感じたかを伝える)→要望(具体的にどうしてほしいかを伝える)」です。
本プログラムでは、Iメッセージの変換練習ワークに加え、リモートワーク時代のテキストでの活用も扱います。「確認してください。」という冷たい印象のSlackメッセージが、Iメッセージ的な表現に変わるだけで、受け取り側の印象は大きく変わります。
職場場面ロールプレイ3種
座学で理論を学んだ後は、実際の職場場面を使ったロールプレイで実践します。3つの場面カードが用意されています。
場面1「急な仕事の依頼」: 今日中に終わらせなければならないレポートに取り組んでいるところへ、先輩から急なコピー依頼が来た。アサーティブな対応は「断る」ではなく「代替案を提示する」——「14時以降なら対応できますが、いかがでしょうか?」です。
「DESC法」——より構造的な伝え方
Iメッセージをさらに発展させたフレームワークが「DESC法」です。Describe(描写)・Express(表現)・Specify(提案)・Choose(選択)——で、繰り返し起こる問題やシリアスな話題を構造的に伝えます。
個人ワーク「DESC法で書いてみよう」では「リモート会議で特定のメンバーが話し続け発言の機会がない」という場面を例に、「前回の会議で私の発言時間は約2分でした(D)→私も貢献したいのですがタイミングがつかめず残念に思っています(E)→発言者ごとに3分の持ち時間を設けるルールはどうでしょう(S)→全員の視点が共有でき、より良い意思決定ができると思います(C)」というDESCの実践を行います。
「日本型アサーティブ」という視点
「アサーティブは欧米的で日本では使いにくい」という声があります。しかし本プログラムでは「日本の文化的文脈に合わせたアサーティブ」を提唱します。クッション言葉(「恐れ入りますが」「差し支えなければ」)との組み合わせ、タイミングの選択、「完璧を目指さず60%のアサーティブでOK」という姿勢——これが「日本型アサーティブ」です。
「自分の意見を伝えることは、チームへの貢献です」——この言葉を、体験した上で受け取れる研修設計が、本プログラムの核心です。
▶商品ページはこちら → https://m-advice.co.jp/shop/item/s26_06/