2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が全企業に義務化されます。対象は大企業・中小企業を問わず、労働者を雇用するすべての事業主です。しかし、義務化まで残り約41日となった今も、準備が十分に進んでいない企業が多い実態が浮かび上がっています。本記事では、厚生労働省の指針に基づく具体的な準備ステップを、残りの日数から逆算して解説します。
2026年10月に何が変わるのか——カスハラ対策義務化の全体像
カスハラ対策の義務化は、2025年6月11日に公布された改正労働施策総合推進法に基づくものです。BUSINESS LAWYERS(2026年)の解説によると、顧客等からの著しい迷惑行為への対応が、事業主の「雇用管理上の措置義務」として正式に位置づけられました。すでにパワハラ・セクハラと同等の法的義務になるということです。
LINE WORKS(2026年)の解説では、厚生労働大臣が定める指針が2026年2月26日に正式に策定・公表されたことが紹介されています。この指針には、事業主が講ずべき措置の具体的内容が明記されており、10月の施行日までに対応を完了させる必要があります。
違反した場合、厚生労働大臣から助言・指導・勧告が行われ、正当な理由なく勧告に従わないときは企業名が公表される制裁措置も設けられています。
6割がマニュアル未整備——調査が示す企業の準備不足
東邦メディアプランニングの調査(2026年6月、就業者300名対象)によると、6割の職場でカスハラ対応マニュアルが「未整備」または「あるかどうかわからない」という状態にあることが判明しました。さらに注目すべきは、マニュアルが整備されていても現場に浸透していない場合、職場への不信感が3倍以上に上昇するという結果です。形だけの対策では逆効果になりかねません。
同調査では、カスハラ経験者の44.0%が「管理職向け研修」を求めており、体調やメンタルに影響が出た層ではその割合が56.2%に上昇しています。従業員は「自分を守ってくれる仕組み」を会社に求めているのです。
10月1日までに完了すべき5つの準備ステップ
バルテック(2026年)の実務ガイドや厚労省指針の内容を踏まえると、企業が講ずべき措置は以下の5つに整理できます。
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経営トップの方針表明と社内周知(8月中)
「カスハラを許容しない」という企業方針を明文化し、全従業員に周知します。就業規則への明記やポスター掲示、社内イントラネットでの発信など、複数チャネルでの周知が指針で求められています。残り41日の今、まずここから着手してください。
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相談窓口の設置と担当者の選任(8月中〜9月上旬)
カスハラの被害を受けた従業員が相談できる窓口を設置し、担当者を選任します。既存のハラスメント相談窓口との統合も可能ですが、カスハラ特有の対応(顧客対応の判断基準、エスカレーション手順)について担当者が対応できるよう、事前研修が必要です。
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対応マニュアル・フローチャートの策定(9月上旬〜中旬)
カスハラに該当する行為の定義、初期対応フロー、エスカレーション基準、記録方法を文書化します。指針では具体的な行動基準(フローチャート)の策定が求められています。業種ごとに想定されるカスハラの類型を洗い出し、対応パターンを明確にしましょう。
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従業員研修の実施(9月中旬〜下旬)
社労士法人アールワン(2026年)は、研修を「全従業員向け」と「管理職向け」の2層で設計することを推奨しています。全従業員にはカスハラの定義・法的背景・初期対応の基本を習得させ、管理職にはエスカレーション時の判断基準と被害者ケアのスキルを追加で学ばせます。10月1日の施行日前に最低1回の研修実施を完了させることが重要です。
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被害者ケア体制の構築(9月下旬〜施行日まで)
カスハラ被害を受けた従業員のメンタルヘルスケア体制を整備します。管理職によるラインケア(日常的な声かけ・変化への気づき・専門家への橋渡し)が中心になります。産業医やEAP(従業員支援プログラム)との連携も確認しておきましょう。
カスハラ対策と管理職のラインケア——見落とされがちな接点
カスハラ対策を「クレーム対応マニュアル」だけで完結させようとする企業がありますが、それでは不十分です。前述の調査が示すように、カスハラ被害でメンタルに影響が出た従業員の過半数が管理職のサポートを求めています。
管理職には「カスハラ発生時の二次対応」と「被害者のメンタルヘルスケア(ラインケア)」という2つの役割が求められます。具体的には、部下のストレス反応の早期発見、傾聴による心理的サポート、必要に応じた業務調整や専門機関へのつなぎです。カスハラ対策研修にラインケアの要素を組み込むことで、従業員が「会社が自分を守ってくれる」と実感できる体制が整います。
まとめ
- 2026年10月1日にカスハラ対策が全企業で義務化——違反時は企業名公表の制裁あり
- 6割の職場でマニュアル未整備、56.2%の被害者が管理職研修を求めている
- 残り41日で「方針表明→窓口設置→マニュアル策定→研修実施→ケア体制構築」の5ステップを完了させる
10月の施行日は待ってくれません。まだ対策に着手していない企業は、今週中に経営トップの方針表明から動き始めてください。研修プログラムの設計が最初のハードルになる場合は、既製の研修教材を活用することで準備期間を短縮できます。
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