【2026年10月義務化】カスハラ対策研修で企業が今すぐ準備すべき5つのこと

「お客様は神様」という言葉が長く浸透してきた日本の職場で、いま深刻な問題が広がっています。顧客からの暴言、土下座の強要、執拗なクレームの繰り返し――いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)です。接客や窓口業務に携わる従業員の方から「つらい」「辞めたい」という声が上がっていませんか。2026年10月、すべての企業にカスハラ対策が法的に義務づけられます。施行まで残り約3か月。人事・研修担当者が今すぐ動くべきポイントを整理します。

「9割超がカスハラに接触」――調査データが示す深刻な現状

カスハラ被害の実態を示すグラフ。被害経験率や対策状況の統計データ

カスハラの深刻さは、複数の調査データが裏づけています。エフアンドエムネットが実施した300名を対象とした実態調査では、68.3%が自らカスハラ被害を経験し、同僚の被害を見聞きした人を含めると91.3%が何らかの形でカスハラに接触しているという結果が出ました。

エス・ピー・ネットワークの2025年調査でも、約7割が消費者から、約5割が取引先からのカスハラ経験があると回答しています。一方で、カスハラ対応を含む研修やマニュアル策定は半数以上が未対応という実態も明らかになりました。

東京都が2026年3月に公表した実態調査によれば、過去1年間にカスハラ被害を受けた従業員は11.9%。被害の内容は「継続的な、執拗な言動」が61.6%で最多、場面は「電話・メール」が69.5%と最も高い割合を占めました。対面だけでなく非対面のチャネルでもカスハラは発生しており、すべての業種・職種で対策が必要です。

2026年10月施行――改正法で企業に求められることとは

2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日からすべての事業主にカスハラ対策が義務づけられます。従業員を1人でも雇用している企業が対象であり、企業規模による猶予措置はありません。中小企業であっても例外なく対応が求められます。

政府広報オンラインによると、法律上のカスタマーハラスメントとは「顧客、取引先、施設利用者等の言動であって、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されること」と定義されています。

厚生労働省の指針(2026年2月告示)では、企業が講ずべき措置として「方針の明確化・周知」「相談体制の整備」「事後対応」「プライバシー保護」「不利益取扱いの禁止」が示されています。

つまり、就業規則の改定や相談窓口の設置だけでなく、従業員が適切に対応できるよう研修を実施することが法的要請の中核にあるのです。

人事・研修担当者が今すぐ取り組むべき5つのアクション

  1. 1. 自社のカスハラ対応方針を明文化する

    「カスタマーハラスメントには毅然と対応し、従業員を守る」という企業方針を経営層と合意のうえ策定します。就業規則や社内規程に明記し、全従業員に周知しましょう。方針がなければ、現場の判断がぶれ、対応の遅れが従業員の離職やメンタルヘルス不調につながります。

  2. 2. 相談窓口と報告フローを整備する

    カスハラを受けた従業員が安心して相談できる窓口を設置します。窓口担当者の選定・研修、相談者のプライバシー保護措置、相談したことによる不利益取扱いの禁止を規程に明記することが法律上求められています。

  3. 3. 対応マニュアルを作成し、判断基準を統一する

    「正当なクレーム」と「カスハラ」の線引きは現場の大きな悩みです。具体的な事例を挙げながら、段階的なエスカレーションの手順と対応フレーズを整理したマニュアルを作成しましょう。現場が自信を持って対応できる「判断基準」を組織として持つことが重要です。

  4. 4. 一般従業員向けのカスハラ対応研修を実施する

    方針やマニュアルがあっても、実際の場面で使えなければ意味がありません。カスハラの定義、初動対応のポイント、エスカレーションの判断基準、自分自身のメンタルケアの方法を、ロールプレイングやケーススタディを交えた実践型研修で学ぶことが効果的です。Channel Corporationの調査では、カスハラ対策がない職場では「モチベーション低下」43.5%、「退職したくなる」28%という結果も出ており、研修による従業員の安心感づくりは離職防止にも直結します。

  5. 5. 管理職向けの二次対応・ラインケア研修を併せて行う

    一般従業員が初動対応を行った後、管理職が二次対応者として適切に引き継ぎ、組織的に解決する体制が不可欠です。管理職には、カスハラを受けた部下のメンタルケア(ラインケア)のスキルも求められます。階層別の研修設計が対策の実効性を高めます。

カスハラ対応研修を選ぶ際のチェックポイント

  • 2026年10月の法改正に完全対応した内容か(改正労働施策総合推進法・厚労省指針を反映しているか)
  • ロールプレイング・ケーススタディなど実践型の演習が含まれているか(座学だけでは現場で使えない)
  • 配布資料や対応マニュアルのテンプレートが付属しているか(研修後すぐに現場で活用できる)
  • 一般従業員と管理職の階層別に対応しているか(役割に応じた研修設計がされているか)
  • 自社の業種・業態に合わせてカスタマイズできるか(小売・飲食・医療など現場ごとに事例が異なる)

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まとめ

  • 2026年10月からすべての企業にカスハラ対策が義務化される。企業規模による猶予はない
  • カスハラ被害の接触率は9割超。対策未着手の企業は5割以上で、施行まで残り約3か月の今が準備のラストチャンス
  • 方針の明文化・相談窓口の整備・マニュアル作成・従業員研修の4つを早急に進めることが、法令遵守と従業員の離職防止の両面で不可欠

施行直前の駆け込み対応では、現場への浸透が間に合いません。今のうちに研修計画を立て、10月の施行日を「準備完了」の状態で迎えましょう。

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