カスハラ対策義務化は2026年10月|全企業対象の研修準備と4つの措置義務を解説

「カスハラ対策、うちの会社は大丈夫だろうか」——2026年10月1日に施行される改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が全企業の義務になります。しかし、エス・ピー・ネットワークの調査によると、カスハラ対応の研修やマニュアル策定は半数以上の企業が未対応のままです。施行まであと約3ヶ月——企業が研修面で何を準備すべきかを、最新データと厚労省指針をもとに解説します。

2026年10月施行「カスハラ対策義務化」で企業に何が求められるのか

カスハラ対策義務化の概要——2026年10月施行の改正労働施策総合推進法で全企業に4つの措置義務

2025年6月に成立・公布された改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、カスハラ対策が事業主の雇用管理上の措置義務として法的に位置づけられます。対象は従業員を1人でも雇用しているすべての企業です。中小企業や個人事業主であっても適用猶予はありません。

BUSINESS LAWYERSの解説によると、企業に求められる4つの措置義務は以下のとおりです。

  1. 方針の明確化と周知——カスハラを許さないという企業方針を策定し、全従業員に周知する
  2. 相談体制の整備——従業員がカスハラ被害を相談できる窓口を設置する
  3. 発生後の迅速・適切な対応——事実確認、被害者ケア、加害行為への毅然とした対応
  4. 不利益取扱いの禁止——相談したことを理由に配置転換や評価低下をしない

直接の刑事罰はないものの、報告徴求・助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されます。安全配慮義務違反による損害賠償リスクや労災認定リスクも生じるため、「罰則がないから後回し」では済まされません。

なぜカスハラ対策研修が「今すぐ」必要なのか——被害の深刻な実態

カスハラの被害は、多くの企業が認識している以上に深刻です。エス・ピー・ネットワークの「カスタマーハラスメント実態調査」(2025年)では、約7割(72.1%)が消費者からカスハラを受けた経験があると回答。さらに約半数(51.3%)が法人顧客・取引先からもカスハラを受けていることが明らかになりました。

東京都が2026年3月に発表したカスハラ実態調査では、従業員の11.9%が被害にあったと回答し、「継続的な、執拗な言動」が最も多い被害類型でした。アイデムの調査でも、直近5年間でカスハラの「発生件数が増えた」と回答した企業は36.9%にのぼります。

にもかかわらず、エス・ピー・ネットワークの同調査によると、カスハラ対応の研修やマニュアル策定は半数以上の企業が未対応のままです。施行まで3ヶ月を切った今、研修整備は最優先の経営課題です。

カスハラ対策研修で10月までに整えるべき4つのポイント

  1. カスハラの定義と判断基準を全従業員に共有する

    政府広報オンラインによると、カスハラとは「社会通念上許容される範囲を超えた顧客等の言動により、労働者の就業環境が害されること」です。厚生労働省の調査では59.6%の企業が「ハラスメントかどうかの判断が難しい」と回答しています。研修では、具体的な行為類型(暴言、威嚇、長時間拘束、土下座強要、SNSでの誹謗中傷等)と「正当なクレーム」との線引き基準を、事例をもとに学ぶプログラムが不可欠です。

  2. 管理職向けに「初動対応フロー」を訓練する

    カスハラが発生した際に、現場の管理職が適切に初動対応できるかが被害の深刻化を左右します。「事実確認→被害者ケア→上席・相談窓口への報告→加害行為への対応」という対応フローを、ロールプレイングやケーススタディで事前に訓練しましょう。対面・電話・メール・SNSなどチャネル別の対応方法も盛り込むと実践力が高まります。

  3. 相談窓口の設置と「相談しやすい環境」をセットで整備する

    措置義務の「相談体制の整備」は、窓口を設置するだけでは不十分です。相談したことによる不利益取扱いの禁止を社内規程に明記し、全従業員に周知する研修が必要です。窓口を利用した際のフロー——匿名性の確保、対応期間の目安、フィードバック方法——まで説明することで、形だけの窓口に終わらない実効性を担保できます。

  4. パワハラ防止研修・メンタルヘルス研修と統合的に設計する

    カスハラ被害は従業員のメンタルヘルスに直結します。厚労省の調査ではパワハラ相談があった企業は64.2%(前回比+16.0%)と増加傾向にあり、ハラスメント問題は社内外を問わず深刻化しています。カスハラ研修を単独で行うのではなく、パワハラ防止法対応研修やメンタルヘルス(ラインケア)研修と統合的に設計することで、ハラスメント対応の体制を包括的に構築できます。

カスハラ対策研修プログラムを選ぶ際のチェックポイント

  • 法改正の最新情報が反映されているか——2026年2月26日告示の厚労省指針に対応しているか
  • 階層別プログラムが用意されているか——一般従業員向けの基礎編と管理職向けの対応編
  • パワハラ防止法の既存義務とカスハラ対策を一体的に学べる構成になっているか
  • ケーススタディやロールプレイングなど実践的なワークが含まれているか
  • 相談窓口の設置・運用マニュアルなど研修後の体制整備まで支援する内容か

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まとめ

  • 2026年10月1日施行のカスハラ対策義務化は全企業対象(中小企業含む、適用猶予なし)。4つの措置義務(方針周知・相談体制・事後対応・不利益取扱い禁止)への対応が必要
  • 従業員の72.1%がカスハラ経験がある一方、研修・マニュアル策定は半数以上が未対応。施行まで3ヶ月を切り、研修整備は喫緊の課題
  • 研修では「カスハラの定義と判断基準」「初動対応フロー」「相談体制の周知」「パワハラ・メンタルヘルスとの統合設計」の4点をカバーし、実効性を高める

まずは自社の現状を「4つの措置義務」に照らしてチェックし、未対応の部分から研修準備を始めましょう。

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