
「来春の新入社員研修を、社内で実施することになった。でも、何をどの順番で教えればよいのか分からない」
研修担当者が悩みやすいのは、扱うテーマの選び方と時間配分です。ビジネスマナー、報連相、デジタルツール、社会人としての心構え。必要な内容を並べるだけでは、時間が足りなくなったり、説明ばかりの研修になったりします。
まず決めたいのは、研修を終えた新入社員に、職場でどんな行動を取ってほしいかです。その行動から逆算すると、限られた日数でもカリキュラムを組み立てやすくなります。
この記事では、社内実施を想定した2日・3日のカリキュラム例と、教材を使って準備を進める方法をご紹介します。
新入社員研修は「配属後の最初の行動」から考える
入社直後の研修で、すべての業務知識を教える必要はありません。配属後の指導につながる共通の土台をつくりましょう。
たとえば、次の四つを研修の到達目標にできます。
- 指示を受けたら、目的・期限・完成イメージを確認する
- 分からないことや遅れそうなことを、早めに相談する
- 相手に伝わるように、報告や連絡を組み立てる
- 社内ルールを確認し、情報やデジタルツールを適切に扱う
「報連相の重要性を理解する」よりも、「期限に間に合わない可能性に気づいた時点で相談できる」とした方が、演習も評価も具体的になります。
会社の理念、就業規則、安全教育、業務システムの使い方など、自社固有の内容も必要です。共通スキルの研修とは別に、時間を確保してください。
2日版と3日版、どちらを選ぶ?
2日版は、配属前に必要な基本行動を優先する構成です。報連相やコミュニケーションの練習を中心にし、ほかのテーマは配属後の研修へつなげます。
3日版は、基本行動に加えて、デジタルツールの実践、自分の意見の伝え方、セルフケアなどを扱う構成です。演習と振り返りの時間を取りやすくなります。
以下は、各日9時〜17時、昼休憩1時間、小休憩合計30分、実質研修時間6時間30分の例です。会社説明や各種手続きに使う時間が多い場合は、研修テーマを減らして調整しましょう。
【2日版】基本行動を優先するカリキュラム例
1日目:社会人としての役割と、仕事の受け方を学ぶ
| 時間 | テーマ | 主な内容・演習 |
|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | オリエンテーション | 研修の目的、自己紹介、学びたいことの共有 |
| 9:30〜10:45 | 社会人としてのマインドセット | 学生との違い、役割と責任、職場で期待される行動 |
| 10:45〜11:00 | 休憩 | |
| 11:00〜12:00 | 仕事の受け方 | 指示の聞き取り、メモ、目的・期限の確認演習 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | |
| 13:00〜14:30 | ビジネスコミュニケーション | 聴く・確認する・分かりやすく伝える練習 |
| 14:30〜14:45 | 休憩 | |
| 14:45〜16:15 | 報連相の基本 | 報告の順番、相談のタイミング、ロールプレイ |
| 16:15〜17:00 | 振り返り | 理解の確認、翌日に試す行動の整理 |
2日目:職場で迷いやすい場面を練習する
| 時間 | テーマ | 主な内容・演習 |
|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | 前日の復習 | 学びの共有、質問への回答 |
| 9:30〜10:45 | デジタルコミュニケーション | メール・チャットの使い分け、自社の連絡ルール |
| 10:45〜11:00 | 休憩 | |
| 11:00〜12:00 | AI・デジタル利用の基本 | 自社の利用ルール、情報の入力・共有、出力の確認 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | |
| 13:00〜14:30 | 報連相の実践 | ミスに気づいた、期限に遅れそうなどのケース演習 |
| 14:30〜14:45 | 休憩 | |
| 14:45〜16:00 | 配属後を想定した総合演習 | 指示を受ける→確認する→相談する→報告する |
| 16:00〜17:00 | 行動計画 | 配属後に実践すること、相談先、上司に確認すること |
2日版では、テーマを増やすよりも、仕事を受けて、確認し、相談し、報告する一連の流れを練習することを優先しています。
キャリア、DE&I、レジリエンスなどは、自社の課題に応じて一部を入れ替えるか、配属後の研修に組み込むとよいでしょう。
【3日版】基本行動に加え、協働とデジタル活用を学ぶカリキュラム例
| 時間 | 1日目:仕事の土台 | 2日目:周囲と協働する | 3日目:デジタル活用と実践 |
|---|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | オリエンテーション | 前日の復習 | 前日の復習 |
| 9:30〜10:45 | キャリアの第一歩 | 報連相の基本 | デジタルコミュニケーション |
| 10:45〜11:00 | 休憩 | 休憩 | 休憩 |
| 11:00〜12:00 | 社会人のマインドセット | 報連相のロールプレイ | メール・チャット作成演習 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | 昼休憩 | 昼休憩 |
| 13:00〜14:30 | ビジネスコミュニケーション | アサーティブコミュニケーション | AI・デジタルツール活用の基礎 |
| 14:30〜14:45 | 休憩 | 休憩 | 休憩 |
| 14:45〜16:00 | 指示の確認・伝達演習 | DE&Iと職場での協働 | 総合演習・発表 |
| 16:00〜17:00 | 振り返り・理解確認 | レジリエンスとセルフケア | 配属後の行動計画 |
アサーティブコミュニケーションでは、「仕事を抱えているときに追加依頼を受けた」といった場面で、状況を伝えて相談する練習をします。
DE&Iでは、考え方や経験の違いがある相手と働く場面を扱います。セルフケアでは、困ったときに一人で抱えず、相談につなげる行動を確認しましょう。
この表は各テーマの重点部分を選んだ短縮構成です。教材の全内容を、表の時間内に実施する想定ではありません。 演習を十分に行いたいテーマは時間を増やし、ほかの内容を別日に回してください。
時間が足りないときは、演習を残して内容を絞る
研修時間を短くするために説明を速めたり、演習をすべて省いたりすると、受講者が自分の行動に置き換える機会が減ってしまいます。
内容を絞る際は、次の順番で考えましょう。
- 配属直後に必要な行動を選ぶ
- その行動を練習する演習を残す
- 演習に必要な知識だけを説明する
- 残りを配属後のOJTやフォローアップ研修に回す
たとえば報連相なら、多くの事例を紹介するよりも、一つのケースを練習し、講師のフィードバックを受けて、もう一度やり直す方法があります。研修の最後には「職場でいつ使うか」まで言葉にしてもらいましょう。
社内講師が準備しておきたい三つのこと
自社の具体例を加える
「早めに相談してください」だけでは、どの時点で相談すべきか分かりません。自社で起こりやすい場面、報告先、使う連絡手段を教材に加えます。
演習の進め方を決める
人数、役割、制限時間、振り返りの問いを事前に整理します。「今から何をすればよいか」が明確だと、受講者も取り組みやすくなります。
配属先と到達目標を共有する
人事と配属先で、「研修で扱ったこと」「今後指導すること」を共有しましょう。研修で練習した報告方法を、配属後も使えるようにすると、学びが仕事につながります。
教材を一から作る時間がない場合は?
カリキュラムが決まっても、スライド、講師用の説明、受講者のワークシートをそろえるには準備が必要です。
当ショップの2027年度新入社員研修用マニュアル一式には、キャリア、マインドセット、コミュニケーション、報連相、アサーティブ、レジリエンス、AI・デジタル、DE&Iなど、9テーマ・約22時間分の教材を収録しています。
講師ノート付きPowerPointとワークシートが付属し、自社の事例や研修時間に合わせて編集できます。セット価格は99,000円(税込)です。企業研修教材・研修マニュアル|すぐに使えるPowerPoint教材
2日・3日で実施する場合は、必要な部分を選んで入社時研修に使い、残りを配属後の研修へ分けて活用できます。まずは試し読みで、スライドの内容や自社の研修との相性をご確認ください。
研修の最後は「配属後にすること」まで決める
研修を終えた新入社員に、次の三つを書いてもらいましょう。
- 明日から実践する行動
- 上司や先輩に確認したいこと
- 困ったときに相談する相手・窓口
2日でも3日でも、研修の目標は、知識を一度に詰め込むことではありません。新入社員が職場で最初の一歩を踏み出せるよう、説明と練習を組み合わせて準備しましょう。