管理職こそ生成AIを使いこなせていない?調査が示す「AI活用格差」と管理職研修の設計法

管理職こそ生成AIを使いこなせていない?調査が示す「AI活用格差」と管理職研修の設計法

全社に生成AI(Generative AI:文章や画像を自動生成する人工知能)を導入したのに、活用が現場任せになっていないでしょうか。実は2026年の複数の調査で、社内で最も生成AIを使いこなせていないのは若手ではなく、課長・リーダー職だというデータが示されています。本記事では、管理職のAI活用格差の実態と、管理職向けAI研修を設計する実践ポイントを解説します。

最新調査:生成AIを「使いこなせない層」の最多は課長・リーダー職

生成AIを使いこなせない層の割合を示すグラフ(課長・リーダー職29.3%、経営層26.8%、一般職25.6%)

コーレ株式会社が業務に生成AIを導入している企業の管理職・マネージャー1,008名を対象に実施した企業の生成AI利用実態調査(2026年1月実施)によると、社内で生成AIを「使いこなせていない」と感じる層は課長・リーダー職が29.3%で最多でした。経営層の26.8%、一般職の25.6%を上回り、現場よりもマネジメント層の習熟遅れが浮き彫りになっています。

同調査では、約7割がAI導入そのものには手応えを感じ、約9割が投資増額に前向きと回答する一方、7割以上が「スキル差による業務への支障」を感じていることも分かりました。導入は進んだのに、使える人と使えない人の格差が組織の新たなボトルネックになっているのです。

研修側にも課題があります。イー・コミュニケーションズの大企業向け調査(2026年6月)では、生成AI研修の実施形式はeラーニングが67.3%で最多でしたが、受講者の理解・習得状況を「十分に把握できていない」担当者が41.9%、研修成果が「業務に活かされていない」と感じる担当者が37.2%にのぼりました。研修を実施していても、管理職の実務での活用にまでつながっていない実態がうかがえます。

なぜ管理職のAI活用格差を放置できないのか

HR NOTEの2026年人材育成トレンド予測では、「管理職のAIに対する危機感は現場社員の3分の1しかない」という指摘とともに、AIの効果的活用には管理職向け研修が必須だと述べられています。

管理職は、部下のAI活用を承認し、AIを使った成果物を評価し、チームの業務プロセスを設計する立場です。その管理職がAIの得意・不得意を体感していなければ、部下の適切な使い方を判断できず、部門全体の活用が止まります。PwCの6カ国比較調査(2026年春)が「AI変革は選択肢から生存条件へ」と題した通り、管理職の習熟遅れは個人のスキル問題ではなく、経営リスクとして捉えるべき段階に来ています。

人事・研修担当者が今すぐできる4つのアクション

  1. 管理職専用のAI研修枠を設ける

    全社一律のAIリテラシー研修だけでは、管理職は「若手向けの内容」と受け止めて優先度を下げがちです。判断・評価・リスク管理という管理職固有の役割に焦点を当てた専用プログラムを別枠で用意しましょう。

  2. 「週30分のAI実験」を仕組みにする

    人材開発機関DDIは、管理職が毎週30分程度AIツールで実験することを推奨しています。研修を単発で終わらせず、会議の要約や資料のたたき台づくりなど、自分の業務で試す時間を定例化することが習熟の近道です。

  3. 「ツール操作」ではなく「マネジメント業務×AI」で設計する

    プロンプト(AIへの指示文)の書き方だけを教えても実務にはつながりません。1on1の準備、フィードバック文面の推敲、部下の企画書のチェックなど、管理職の日常業務に沿った演習で構成しましょう。

  4. 研修後のフォローと効果測定をセットにする

    前述の調査では、受講後のフォローが「不十分」と感じる担当者が40.9%でした。受講1〜3か月後に活用状況を振り返る場を設け、業務での活用事例を管理職同士で共有する仕組みまで含めて設計することが定着の鍵です。

管理職向けAI研修・教材選びのチェックポイント

  • 管理職の役割(判断・評価・部下育成)に紐づいた演習やケーススタディがあるか
  • 社内講師でも実施できる講師用マニュアルや進行ガイドが整っているか
  • AI活用と併せて、評価フィードバックや目標管理などマネジメントの基本を扱う教材と組み合わせられるか

AI活用は手段であり、土台となるのは管理職としてのマネジメント力です。AI研修と並行して、評価・育成・職場づくりといった管理職研修の基盤を整えることが、結果としてAI活用格差の解消を早めます。

まとめ

  • 2026年の調査では、生成AIを使いこなせない層は課長・リーダー職が29.3%で最多。現場より管理職の習熟遅れが課題
  • 管理職は部下のAI活用の承認者・評価者であり、その習熟遅れは部門全体の活用停滞という経営リスクにつながる
  • 対策は「管理職専用の研修枠」「週30分のAI実験」「マネジメント業務に沿った演習」「受講後フォロー」の4点セット

まずは自社の管理職が生成AIをどの程度業務で使えているか、実態把握から始めてみてください。

管理職・リーダー向けの研修マニュアルはこちらでご覧いただけます