AI研修費用を最大75%削減——人材開発支援助成金の活用法と2026年度の申請期限

「AI研修を導入したいが、予算が確保できない」「生成AI研修のコストをどうにか抑えたい」——そんな悩みを抱えた人事・教育担当者に知ってほしいのが、厚生労働省の「人材開発支援助成金」です。AI研修の費用を最大75%補助できるこの制度が、2026年度をもって一部コースが終了する可能性があります。活用するなら今年度が事実上のラストチャンスになるかもしれません。

AI研修に使える人材開発支援助成金——3つのコースと助成率

人材開発支援助成金の申請書類と電卓が並ぶデスクのイメージ

厚生労働省の人材開発支援助成金は、社員の能力開発・研修を実施した企業に対し、費用の一部を助成する制度です。2026年時点でAI研修・DX研修に活用できる主なコースは以下の3つです。

  • 人材育成支援コース:最も汎用性が高いコース。OFF-JT(外部研修・eラーニング含む)の経費と賃金を助成。中小企業は経費の45%・賃金960円/時が支給されます。業種・規模を問わず申請しやすい基本コースです。
  • 人への投資促進コース:デジタル・AI分野の高度訓練向け。定額制eラーニングサービスの費用も助成対象になる点が特徴で、複数社員への展開に向いています。ただし2026年度(令和8年度)が最終年度の期間限定コースです。
  • 事業展開等リスキリング支援コース:DX推進など新たな事業展開に向けたリスキリングが対象。最大75%という高い助成率が魅力で、中小企業の場合、研修規模に応じて最大50万円が助成されます。

また、2026年3月の制度改正でリスキリング支援コースの対象範囲が拡大し、「おおむね3年以内の人事配置計画に基づく訓練」も助成対象に追加されました。段階的なAI人材育成計画を立てている企業でも申請しやすくなっています。

なぜ今すぐ動くべきか——2026年度が「実質ラストチャンス」の理由

「いつか使おう」では間に合わない可能性があります。この制度には2つの緊急性があります。

① 「人への投資促進コース」は2026年度末で終了予定

令和4〜8年度(2022〜2026年度)の期間限定で設けられた「人への投資促進コース」は、2027年3月31日が申請の最終期限となる見込みです。eラーニングの定額制サービスを助成対象にできるこのコースは、多くの社員に効率よくAI研修を展開したい企業に特に有効です。「来年度以降でもいい」という判断が、制度活用の機会を永久に失うことに直結します。

② 申請には「研修開始1ヶ月前の計画届」が絶対条件

助成金受給の最重要ルールとして、研修開始の1ヶ月前までに管轄の労働局またはハローワークへ「訓練実施計画届」を提出しなければなりません。研修を実施してから後で申請しようとしても却下されます。2026年度内に研修を実施したいなら、今すぐ計画を始める必要があります。

人事・研修担当者が今すぐ取り組むべき5つのステップ

  1. 自社に合うコースを確認する

    「人材育成支援コース(汎用的な研修)」「人への投資促進コース(eラーニング・デジタル分野)」「事業展開等リスキリング支援コース(DX推進・新事業向け)」の3コースから、研修目的・規模・対象者に合うものを選びましょう。複数コースの組み合わせも可能です。まず管轄のハローワークや厚生労働省ポータルで自社の状況を確認するのが最短ルートです。

  2. 研修計画と計画届を同時並行で作成する

    「どんなAI研修をいつ・誰に・何時間実施するか」が決まった段階で、すぐに計画届の作成に着手しましょう。研修スケジュールを先に固め、そこから1ヶ月以上前の提出期限を逆算してスケジュール管理することが成功の鍵です。「研修担当」と「助成金申請担当」が別の場合は、連携ミスが起きやすいため、チェックリストで進捗を共有することをおすすめします。

  3. 「20時間以上のOFF-JT」を研修設計に組み込む

    助成対象となる研修の多くは、業務を離れた形式(OFF-JT)での実施が条件です。また、成果の出る研修の共通条件として「20時間以上のOFF-JT」が挙げられています。単発の数時間研修より、複数回に分けた体系的なカリキュラムの方が、助成金要件の充足と研修効果の両面で有利です。

  4. 社内の「シャドーAI」実態を事前に把握する

    2026年の調査では、会社として公式にAIを導入していないにもかかわらず、個人で無料版などを利用している社員が14.4%存在することがわかっています。こうした「シャドーAI」は情報漏洩リスクの温床です。AI研修の設計前に社内のAI利用実態をアンケートで把握し、「正しい使い方の教育」と「ガイドライン整備」をセットで進めることが、研修効果を高めます。

  5. 社労士またはハローワークに事前相談する

    助成金の要件は複雑で、申請書類のミスによる却下も少なくありません。初めて申請する場合は、社会保険労務士への相談や管轄のハローワーク・労働局への事前相談を強くおすすめします。多くの自治体でオンライン相談も受け付けており、手続きのハードルは以前より下がっています。

助成金申請と相性の良い研修教材の選び方

助成金申請書類と研修マニュアルを確認する人事担当者のイメージ
  • OFF-JT形式で実施できるカリキュラム設計か:業務時間を切り離した研修形式に対応しやすい教材を選ぶと、助成金要件を満たしやすくなります。
  • 受講記録・研修時間の記録が残せる設計か:助成金申請には受講実績・時間記録が必要です。講師用マニュアルと出席記録がセットになった教材は、申請書類の作成負担を大幅に軽減します。
  • 社内講師(内製化)で実施できるか:外部講師費用は助成対象外になるケースもあります。社内講師が使える講師用マニュアル付きの教材は、コスト削減と助成金活用を同時に実現できます。

社内講師による内製研修の立ち上げを支援する講師用マニュアルを提供しています。研修教材の詳細はこちらからご確認ください。

まとめ

  • 人材開発支援助成金でAI研修費用が最大75%補助される。特に「事業展開等リスキリング支援コース」は中小企業向けに助成率・金額ともに手厚い内容。
  • 「人への投資促進コース」は2026年度(令和8年度)が最終年度の見込み。期限は2027年3月31日で、今年度中に研修を実施しないと機会を失う可能性がある。
  • 申請の最大の落とし穴は「研修開始1ヶ月前までの計画届提出」。後出し申請は一切認められないため、研修計画と申請準備を同時進行することが必須。
  • 研修設計の前に社内の「シャドーAI」実態を把握し、ガイドライン整備とセットで進めることが投資対効果を高める鍵。

助成金の期限が迫っています。まず管轄のハローワークか社労士に自社が使えるコースを確認し、今年度内の実施計画を立てることから始めましょう。

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